現在お客様が現場運用で利用しているハンディーターミナル。システム自体には満足をしているが、電池の消耗が激しい・スキャン精度が低い・キー操作の反応が悪い等のハード機器に不満や生産中止となって後継機種が発売されない等が生じた場合、他社メーカーのハンディーターミナルでの利用を検討する場合もあると思います。

商談を進める中でお客様の中には「機器を交換するだけ」と誤った理解をされている場合もあります。機種リプレース検討時に注意をして欲しいのが「システム移行」の問題です。

どうして他社メーカーや異なる型番のハンディーターミナルへ乗り換えを行う場合に注意が必要なのか?弊社が過去に経験した事例を参考にご紹介したいと思います。

1.システムリプレースを行う場合のハード選択の注意点

他社への機種変更の「システムリプレース」プロジェクトでお客様から「コピーすればシステムは移行して使えるのでしょ?」と、たまに相談をうける事があります。ただ残念ながら実際は「コピーをしても正しく動かない」場合が多いです。

意外とこの部分をお客様にご理解いただくのが難しいのですが、カンタンに言えば「Windows」パソコンのソフトウェアを「MAC」パソコンにインストールしても利用ができない、「Android携帯」と「iPhone」の関係と同じで、AndroidはAndroid用の専用アプリ、iPhoneはiPhone用の専用アプリがそれぞれあり、単純にコピーをしただけでは使えません。

そのため機種リプレースの際に私たちが確認するのは、乗り換え機種のOSの違い、開発したソフトのプログラミング言語が対応しているか、ハード機器のキーの配列の違いなど、リプレースを行う場合にはエンジニアの目線から確認をして開発に取り組む必要があります。
システムリプレースの問題点

2.意外な落とし穴も。ハード機器の変更時の注意点

他社メーカーのハード機器へ乗り換えを行う場合、もしくは同じメーカーの異なる型番への乗り換え時には注意点があります。ここでは乗り換え時の注意点をご紹介したいと思います。

各社でOSが違う点。ハンディーターミナルに搭載されていますOSには、「メーカー独自のOS」、「AndroidOS」、「WindowsOS」など、機器によって様々です。同じOSの乗り換えでは基本的に問題がありませんが、独自OSからAndroidOSなどOSの種類が異なる場合の乗り換えの場合、システムをコピーしても稼働はしません。

開発に利用したプログラミング言語が違う点。システムを開発しているプログラミング言語も各OSで様々です。OSに搭載が可能なプログラミング言語もそれぞれ決まっているので、システム稼働の確認が発生します。

ハード機器のキー配列などが違う点。同一メーカー、同一OS、同一プログラミング言語の場合でも、型番が異なるとハンディーターミナルのキーボード配列や画面のサイズ、キーボード数、ボタンの機能が違う場合があり、同じメーカーのハンディーターミナルでもキーボード配列や画面サイズが異なると、一部分修正を行う場合も発生するのです。

以上の内容を加味して新規採用するハンディーターミナルでシステムを稼働させるために、リプレース開発を進めるのですが、リプレースで一番問題となるのは、元々のシステムを製造する際に使った仕様書(建物の設計図のような物)がない場合です。

仕様書がない場合は既存のシステムの各機能をエンジニアが確認して開発を行う必要があり、画面構成・各画面での機能・キーボードとの連動方法・画面と画面の関係性などを調査してから開発に移る必要があります。
ハンディーターミナルのシステムリプレースの注意点

3.エンジニアの腕の見せ所。リプレース開発を実現

ハンディーターミナルの刷新を行う案件でお客様担当者とヒアリングを行った所、新規採用のハンディーターミナルを操作した事がない、また元々ご利用中だったハンディーターミナルでご利用中のシステム仕様書が無い事が判明しました。

そのため私たち社内担当のエンジニアが話し合った結果、お客様の不安感を払拭して理解を頂くために「新規採用したハンディーターミナル」を導入した場合の画面イメージを提供しました。

ハード機器が変更に伴い「どんな部分が変更され」・「どんな部分が変更されないか」を、目でご理解を頂きお互いの認識の差を埋めることから始めました。

次は「システム仕様書が無い」という問題。ここはエンジニアの腕の見せ所です。既存のシステム画面を元に各機能の項目の調査各ボタンの操作の連携方法など、システム画面とプログラムソースを頼りに調査と整理を行う必要がありました。

身近な所に例えると完成した住宅の設計図が無いが、別の場所で全く同じ住宅を新築して欲しいと言う相談と同じです。

システム設計図が無い訳ですから、私たちエンジニアの開発経験を元に既存システムを操作し照らし合わせながら、推測した事が正しいかを検証し、リプレース用に仕様書を作成しなおしました。

また途中経過でお客様と操作のズレを少なくするために、ベータ版のシステムを提供してお客様に都度、システムの動きを実際に確認して頂き微調整を挟みながら、本番稼働まで開発を進めました。
システムリプレースの進め方例

今回このような方法でお客様と情報共有を行いながら進めたリプレースプロジェクトですが、他社ハンディーターミナルへの乗り換えは無事に完了。お客様と認識を深めてプロジェクトを推進したため、大きな問題も無くリプレース作業は完了することが出来ました。

現在ご利用のシステムに問題は無いが、利用中のハンディーターミナルのリプレースを検討している、上位システムとの連動を行うハード機種を増やしたい等、ハード機やシステム乗り換えをご検討中のお客様、システム導入経験の多い私たちが対応にあたります。

お問い合わせ