七五三・厄払いなど人生の節目や初詣・節分など年度行事で神社や寺院へ参拝される方も多いかと思います。

参拝時に立ち寄る社務所・授与所ではお札や御守などの授与品を数多く取り扱っていますが、授与品の保管数の実績把握や頒布数のミス防止にQRコードRFタグなど自動認識技術を用いた運用方法の採用が始まっています。

今回は実際にQRコードRFタグ技術を活用した授与品の入出庫の実績管理頒布時の計算ミス防止のシステム運用についてご紹介いたします。

多種多様で数が多い授与品在庫管理の問題点

授与品の在庫管理の問題点として多種多様な授与品を境内の山車庫や社務所・授与所などの複数箇所の保管棚で管理するため在庫数が不明確であり、授与品がどこで保管されているか在庫所在が不明となってしまう場合がありました。

また授与品の一部には干支をあしらった品もあり、売れ残りや在庫所在が不明となってしまう品が多くあると次の頒布が12年後となるため出来る限り現時点での実数を把握したいという要望がありました。

なお社務所で頒布する際に類似する授与品も多いため会計ミス初詣など人出が多い際の業務負荷の問題を抱えていました。

授与品の入庫から頒布までの流れ(全体の流れと入庫)

実際にシステム導入を行った神社の場合、授与品は大量保管が可能な山車庫で入庫(1次入庫)した後に必要数を社務所や授与所へ移動(2次入庫)させます。また授与品の種類や季節など状況によっては直接、社務所や授与所へ移動(1次入庫)することもあります。

社務所や授与所にて受領した授与品はまずお清めし、頒布(出荷販売)または授与(出荷)を行います。※一般的な業務表記の入庫・出庫・出荷などの用語を併せて表記しております。

1次入庫」は山車庫・社務所・授与所などの場所には授与品の保管棚が設置され、保管場所と棚番情報を印刷した「保存場所QRコード」を印刷し貼り付けて場所を管理します。

授与品が各場所に入庫されると、まず空いている棚の棚番の「保存場所QRコード」をハンディーターミナルと呼ばれる端末機でスキャンし入庫した授与品の種類と数量を手で入力します。

必要情報の入力が完了するとハンディーターミナルからラベルプリンターへデータが送信され、ラベルが発行されますので授与品の箱に貼り付けします。ラベルを貼り付けた授与品はスキャンした棚番へ棚入れして1次入庫は完了となります。

2次入庫」は社務所や授与所に対して行われ、山車庫に保管していた授与品を取り出して出庫する所から始まります。授与品は山車庫から社務所や授与所へ移動され、保管したい空き棚の棚番をスキャンし次に授与品の箱ラベルのQRコードをスキャンして、空き棚へ棚入れして2次入庫は完了となります。

授与品の入庫から頒布までの流れ(出庫と頒布)

授与品の出庫は山車庫・社務所・授与所の全ての場所が対象となります。持ち出したい授与品が保管されている「保存場所QRコード」と授与品の箱に貼られたラベルをスキャンします。

仮に箱の数量が100個で持ち出したい数量が80個の場合は、数量80を端末に入力します。入力すると「小分けラベル」と呼ばれるラベルがラベルプリンターから2枚発行されます。1枚は持ち出し数量80個が印刷されたラベル、もう1枚は元の場所に戻す箱に張り替える数量20個のラベルとなります。

80個のラベルを貼り付けた授与品は出庫20個のラベルを貼り替えた授与品は元あった場所に戻します。

出庫された授与品は社務所と授与所に集められ箱から授与品を取り出し、それぞれ袋に小分けされます。袋には「RFタグ」と呼ばれる各種授与品の情報が保存された下げ札をクリップで取り付けます。

授与品の頒布時に「RFIDリーダー」と呼ばれる読み取り機で「RFタグ」情報を読ませることで、今まで人で計算を行っていた初穂料の決済を機械が自動計算し会計ミスを防ぐ仕組みを構築できます。

神社寺院には参拝客の目的に応じた、絵馬・御守・おみくじ・お札や破魔矢など各種授与品が取り扱われていますが、授与品の種類を問わずに実数管理を行うことが可能となります。

今回ご紹介した運用方法は一例であり、神社や寺院によっては保管場所や授与品の移動方法など異なる場合もあるかと思います。

異なる管理方法についてはご相談いただければ、現行の運用に合わせた方法で授与品の実数管理を実現いたします。まずはどのような実数管理を実現したいか、弊社までご相談いただければと思います。