動物向け医薬品・医療資材は人薬同様GS1-128のバーコード管理が義務化されケース単位でロットの消費期限管理が可能となりました。

管理の義務化に伴い、今後はペット病院内の調剤業務が有資格者のみ対応など管理体制の厳格化が考えられ、資格者の確保不足が想定されています。

今回はペット病院の薬剤管理にRFIDタグとGS1-128を活用した在庫管理システムをご紹介。モルヒネなど特殊な薬剤の厳格管理も対応したシステムとなっています。

ペット病院の薬剤管理の課題

ペット病院の薬剤管理の課題
システム導入を実施したペット病院は複数拠点で運営。業務ルールは標準化しているものの、運用方法はスタッフ主導のため実運用はブラックボックスな状態でした。

毎月発生する棚卸し業務の手間

病院で利用する薬剤は800~1600アイテムと数が多く、棚卸しは1日の業務時間の半分近くの時間(4時間程度)を割いて対応をしていました。

消費期限管理

薬剤の消費期限は毎月の棚卸しと薬剤の利用時に確認。

消費期限の管理ルールとして薬剤や医療資材は消費期限の1週間前、販売品は一ヶ月前になると廃棄対象としていましたが、目視管理のためヒューマンエラーが生じていました。

麻薬劇薬系の厳格な管理

モルヒネなど麻薬劇物系の薬剤の数量管理は他の薬剤よりも法律で厳格な管理が定められており、現在の運用は手書きによる数量管理のため、より精度の高い管理体制を検討していました。

適正在庫と適正発注の精度

各病院のアイテム数が多い点、複数の拠点で運営をしている点、不足した薬剤は本部で一括発注が必要な点、発注後の薬剤は各病院で検品する点など、チェーン展開している企業ならではの課題があり、在庫数と発注数の精度向上が急務でした。

ペット病院向け在庫管理システム導入の背景

ペット病院向け在庫管理システム導入の背景

法改正による人手不足の問題

先にも述べた通り薬剤の調剤業務が資格制度に移行する恐れもあり、対応スタッフの確保が難しい状況を想定し準備を進めました。

現状の人海戦術による運用を極力排除し、システムによる作業の軽減と管理の精度アップが必要と判断しました。

GS1-128の義務化による厳格な管理体制

動物向けの医薬品もGS1-128バーコードの印字が義務化され運用がスタート。

ケース単位での消費期限とロットの管理が可能となり、古い日付の薬剤利用によるトラブル防止の対策が求められていました。

ただし人による確認作業はヒューマンエラーと確認精度の問題があるため、システムによる標準的で高精度、迅速な判断管理が必要となっていました。

システム導入を成功させた3つのポイント

在庫管理システム導入を成功させた3つのポイント
在庫管理システムを成功させたポイントは大きく3つありました。現状の業務をどのように変更したのかをご紹介します。

RFIDタグ導入による作業の省力化

各薬剤や医療資材には「RFIDタグ」と呼ばれるサプライ品を取り付けました。

バーコードと違いRFIDタグは離れた場所から読み込みが出来き、一度にまとめて複数のRFIDタグを読み込める特徴があります。

そのため納品時の検品や棚卸しでケースのまとめ読みが可能となりました。目視による個体数の確認やバーコードの読取りと比較すると格段に作業時間の短縮化が図れました。

またタグ内に消費期限情報も保存し、棚卸時に未使用ケースについてはGS1-128を読み込まず、RFIDタグを読み込む事で消費期限を迎えた薬剤判断が可能となりました。

データ収集&一元購買データ作成

開封した薬剤のRFIDタグは取り外し病院内で一箇所に回収します。

RFIDタグを読み取る機器(ハンディターミナル)で読み取り、読み取ったデータを本部へ送信することで、本部側が各店舗側の使用済み薬剤データとして認識。次回の購買品データとして活用します。

この運用により本部への次回購買品の注文データの作成の短縮、通知ミスの防止が図れます。

GS1-128をスキャンし判断する消費期限管理

薬剤利用時はGS1-128のバーコードをスキャンし薬剤の消費期限を判断。消費期限が経過した薬剤の利用を未然に防ぎます。

目視判断からシステム判断に変更しヒューマンエラーを撲滅します。

システム導入後の運用フロー概要

在庫管理システム導入後の運用フロー概要
今までの運用フローは基本的に変更せず「RFIDタグ」「ハンディターミナルでの読み込み」を追加し管理精度アップと省力化を図りました。

薬剤メーカーから一旦、ペット病院の物流センターに薬剤を納品。

納品された薬剤にはケース単位にRFIDタグを取り付けます。RFIDには薬剤の品番情報など管理に必要な情報が保管記録されています。

タグが貼り終わった薬剤は各ペット病院へ出荷。各病院が注文した薬剤が届けられます。

病院に入荷された薬剤はハンディターミナルでRFIDを読み込み検品。検品作業もRFIDを活用し省力化されます。

処方時はケースからRFIDタグを取り外し、所定の場所で一旦保管。次の発注時にハンディターミナルで使用済みRFIDタグを読み込み発注データとして本部に送信します。

送信を受けた本部は各病院の発注データを集計し、薬剤メーカーに一括発注を行います。

麻薬毒薬系薬剤の運用ポイント

システムを使った麻薬毒薬系薬剤の運用ポイント

通常の薬剤と違い麻薬・劇薬系の薬剤は厳密に未使用の数量を管理するため、薬剤をケースから取り出した後に「製品情報、賞味期限、ロット番号」が保存されたQRコードラベルを発行しケースまたは保管棚に貼付けます。

薬剤を払い出した際は発行したQRコードをスキャンし払い出す数量を入力して未使用の数量をその場でシステム更新しリアルタイムに数量把握が出来る環境を構築しました。

GS1-128管理によるペット病院向け在庫管理システムのまとめ

如何でしたか?RFDIタグとGS1-128を活用した在庫管理システムの紹介でした。

今回はペット病院での導入例でしたが、通常の病院でも同様の在庫管理システムの導入が可能です。

棚卸し運用の省力化を検討中、薬剤管理に苦労している経営者様、一度ケーウェイズまでお問い合わせ下さい。お客様のお悩みを解決いたします。

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