在庫管理」や「棚卸管理」は物流倉庫の業務と思う方も多いのですが、実は人命に関わる医療現場でも「在庫管理」や「棚卸管理」は医療器具や機器を管理する上で大切な業務の一つです。

なぜ管理業務として重要なのか?医療器具の在庫管理をバーコード管理からICタグ管理に変更してリアルタイムな在庫管理を実現した導入事例を元にご紹介したいと思います。

1.改善できない。在庫差異と器具欠品が生じていたバーコード運用問題

ケーウェイズのICタグ在庫管理システムの導入前は、バーコード在庫管理システムを導入し運用していたのですが、バーコード管理では現場改善に限界を迎えていました。

バーコード管理を導入した主な理由は「目視」や「手書き」によるヒューマンエラーの防止。事実バーコードシステム運用後ヒューマンエラーは改善されたのですが、既存運用から残っていた4つの問題は解消されないままでした。

それは「各治療室の在庫と差異の把握」「在庫把握の不備による機器の欠品」「使用機器の請求の忘れ」「未使用の医療器具の誤廃棄」の4つ。この問題点は導入したバーコード在庫管理システムでは改善することが出来ませんでした。

バーコード管理の運用では、メーカーから購入した医療器具が梱包された袋にバーコードを貼り付け、在庫数を「ハンディースキャナー」で点数確認をして各治療室の保管棚で管理します。手術時に必要となる器具は棚から出して使用し、使用後の器具は廃棄し器具が入っていた袋は事務室へ渡します。

事務室では袋に貼り付けてあるバーコードを剥がして請求書へ貼り直して実費請求を行うのですが、バーコードの剥がし忘れによる未請求が発生。また使用済の袋を事務所に渡さずそのまま廃棄処分してしまう場合や治療前に事前準備していた未使用の医療器具を使用済器具と一緒に廃棄する場合もあり、運用ルールの徹底が出来ていない状態でした。

また各治療室で器具を保管するため、定期的に棚卸しを行わないと各治療室の在庫数・全体の器具の総在庫数の把握ができず、医療器具の欠品も発生していました。

2.ICタグ技術を活かした医療器具のリアルタイム在庫管理術とは?

基本的には今までの運用をベースに医療器具に貼り付けていた「バーコードラベル」を「ICタグラベル」に変更するだけ。貼り付けが完了した医療器具は「ICタグハンディーターミナル」で読込みし「入庫処理」を完了させ、入庫後は医療器具を各治療室の棚で保管します。

治療時に器具を使う場合は、保管棚に設置する「ICタグテーブルリーダー」が医療器具に貼り付けているICタグを読み取り「出庫処理」が完了します。各治療室の出庫情報は事務所と連動しているため、事務所で各治療室の在庫数量がリアルタイムに把握ができます。

またICタグ導入後は「出庫処理」された医療器具データと請求書システムを連動処理。そのため請求時のバーコード貼り付け作業は廃止され、バーコードの貼り忘れによる未請求も防止されました。

なお医療器具の廃棄時にも一工夫。廃棄ダスト周辺に広範囲に読込みができる「ICタグリーダー」を設置。未開封の医療器具を使用済の器具と廃棄すると、ICタグを感知してパトライトが音と光りで誤廃棄を警告するため、未使用器具の誤廃棄を防止できるようになりました。

3.4つの問題点が全て解消したリアルタイム化の運用ポイント

ICタグ在庫管理に変更後、一番の問題点だった各治療室の在庫管理の精度が上がりリアルタイムに在庫数量の確認ができるようになりました。定期的に棚卸しをしなければ在庫数量が分からなかった運用がリアルタイムで在庫数量の状況が分かるようになったのは大きなポイントです。以前の棚卸作業と比べると10倍ほどの作業時間の効率化が見込めました。

またリアルタイム化が実現したお陰で安全在庫数を下回ると直ぐ様、医療器具の発注が可能となり、今まで欠品が生じていた器具不足が解決され、バーコードを貼り付ける請求作業も無くなり、事務方の作業ミスが格段に減った点も大きな改善となりました。

今まで医療器具の在庫数が合わない場合は「紛失」または「未使用品の廃棄」の2つの原因が多く、差異が発生した医療器具は病院側の費用負担だったのですが、廃棄場のパトライト設置後は、未使用の医療器具を廃棄すると警告音と警告ライトで警告を促し誤廃棄が防止され、病院側の費用負担が軽減されました。

「バーコード」から「ICタグ」の運用に変えただけで、これまでバーコード運用で解決が出来なかった4つの問題点が全て改善され、運用スピードも大幅にアップすることができました。

如何でしたか?医療現場の在庫管理をバーコードからICタグに改善するだけで、在庫数量の精度向上だけではなく「リアルタイム発注の実現」・「未請求の防止」・「未使用器具の誤廃棄防止」・「医療器具の欠品防止」と多くの恩恵を受けるICタグ在庫管理システム。

バーコード導入で目視管理や手書き管理のヒューマンエラーの防止するもの良いですが、ほぼ同じ運用方法でバーコード管理では実現できない問題を解決するICタグシステムを導入して、一歩先の運用を手に入れてみるのはどうでしょうか。

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