銀行や保険などの金融業では保険証書や契約に関する一式の資料類などデジタルデータで保管できない紙媒体の書類を保管しています。

場合によっては10万枚や20万枚などのドキュメント管理をしており、業務で書類の出し入れが発生する場合は保管書類に誤りが無いか棚卸しを定期的に実施して紛失などのチェック作業を行っています。

こんな大量の書類管理にオススメなのがRFIDタグを用いたドキュメント(書類)管理ソフトの運用です。バーコードからRFIDタグ運用に移行して作業効率が約20倍を達成した導入事例をご紹介したいと思います。

RFIDタグを使ったドキュメント(書類)管理の概要

ドキュメント(書類)管理ソフトの概要として、まずドキュメント(書類)を保管する箱やフォルダーを識別するためにバーコード印刷された管理ラベルを準備します。

この管理ラベルはラベルプリンターから印刷する、もしくは印刷済みのラベルで構いません。またバーコード情報は単独のユニーク番号となります。

管理する箱やフォルダーに保管するドキュメント類には一枚単位に個体ラベルとしてRFIDタグを貼付けます。運用として理想的なのは証券に管理番号があればRFIDタグ情報も同じ番号で管理すると更にわかり易くなります(図①)。

次にバーコード付き管理ラベルを箱やフォルダーに貼付け(図①)、ハンディーターミナルでバーコードをスキャンして個体認識(図②)。保存する証券などのドキュメント類は一括して読み込み、管理箱とドキュメントを紐づけて保管します(図③)。

バーコード中心の運用と異なる点はドキュメントに貼り付ける個体ラベルにRFIDタグが内蔵されているかの違いだけ。それ以外の作業は同じ運用となります。

RFIDタグの登録機能の紹介

ドキュメント類にはRFIDタグ内蔵の個体ラベルを取り付けますが、タグ内部には個体情報が未登録です。

そのため個体ラベルのバーコードをスキャンし(図①)、スキャンした個体番号をRFIDタグに登録(図②)。情報を登録したRFIDタグは証券に貼り付け管理を開始します。この個体番号の登録作業はRFID対応ハンディーターミナルで運用が可能です。

登録されたデータはハンディーターミナルからパソコン側へ送信してドキュメント管理情報として利用を行います(図②)。

RFIDタグの照会機能の紹介

RFIDタグに登録された個体情報は、登録間違い・登録漏れなど誤った運用で、個体番号が保存されていない場合や違う個体番号が保存されている場合もあります。

そんな時は照会機能を使うと個体ラベルとRFIDタグ内部の情報を照会することが可能です。

ドキュメントに取り付けた個体ラベルのバーコードをスキャンし(図①)次にRFIDタグを読み込みます。2つのデータを比較して間違いが無いかを確認し、データが違う場合は音やメッセージ警告で通知します(図②)。

また照会したデータはCSVデータとして出力が可能なため、照会データを利用して誤りの発生状況を一覧で確認することが出来ます(図③)。

RFIDタグの棚卸し機能の紹介

ドキュメントの棚卸し運用は、まず箱番号単位にドキュメントの個体情報が紐づけられたCSVデータをハンディーターミナルに転送します(図①)。

転送するとハンディーターミナルの画面に箱番号が表示されるので、棚卸しを実施したい箱番号をタップして選択(図②)。タップ後に箱番号に紐づくドキュメント一覧が表示され、ハンディーターミナルで読み込みしながら棚卸しを行います(図③)。

読み取った箱内部のRFIDタグとCSVデータ上のRFIDタグ情報を比較して数量差異や異なるドキュメント個体番号が存在しないかチェック。差異やドキュメント番号の違いがあれば画面上に状態表示をします。

基本的な運用手順はバーコード運用と同じですが、読み込み速度が異なるため「作業スピードが大幅に向上した」というのがお客様から届いた声です。

20倍の運用効率化を達成した棚卸し運用

RFIDタグに変更することで実際にどのくらい棚卸しの運用時間が変わったのでしょうか?

ソフト導入したお客様は管理箱に200枚のドキュメントを保存している運用でしたが、管理対象となるドキュメントが100,000枚あり箱に換算すると5,000箱の保管数がありました。

バーコード運用の場合は一枚ずつスキャンをするため一箱あたり7分程度の時間が必要となり、15名体制で8時間の作業時間を使い約5日間を棚卸し作業時間に充てていました。

RFIDタグ運用の場合、管理している箱やフォルダーの開閉やドキュメントの取り出し作業も不要となる場合も多く一箱あたり10秒から20秒で読み取りが実現するため、20秒で換算しても8時間で1,440箱の棚卸しが可能となり一人で棚卸しを行っても3.5日で運用がカバー出来るようになりました。

一箱あたりの作業時間を比較するとバーコード運用は約7分(400秒から420秒)、それに比べてRFIDタグは20秒、20倍程度の違いが生まれたのです。

今回のようなドキュメント管理の運用は棚卸し作業の時間が大幅に短縮するだけでなく、対応するスタッフの人件費の削減スタッフの確保を容易にする、スタッフが利用するハンディーターミナルの個体数も削減が可能です。

ご紹介したドキュメント保管の運用は保険証書やローン契約時の書類一式、顧客より預かっている書類や企業内部の機密書類、特許権の証明書や申請に関わる資料一式、また映像フィルムやDVDなどメディア資料などRFIDタグを活用してシステム管理が出来るのではないでしょうか。

如何でしたか?意外と企業では煩雑で人手が必要なドキュメント管理。RFIDタグを用いると予想以上の効率化・業務改善・コスト削減に威力を発揮します。

現在大量のドキュメント管理に頭を悩ませている経営者・業務担当者様、RFIDに関する開発実績の豊富な弊社へご相談ください。運用カイゼン方法からご相談を承っております。