生産者と卸売市場を繋げる流通業務は現在もアナログな手書き&目視作業が中心となっており、入出荷量が増加するにつれ手間が増えて作業ミスが生じてしまいます。

また鮮度の良い状態で生産者が出荷しても、卸売市場に入荷した後の流通滞留により生産物の品質劣化に影響を及ぼす可能性もあります。

今回は業務の流れをデジタル化することで流通業務を改善し作業効率化を上げた流通管理システムをご紹介。生産者との市場を繋げる流通改善のヒントになればと思います。

生産者と卸売市場の運用の課題

流通運用で生産者出荷&市場入荷の作業の問題点
システム導入前の運用は生産者側、卸売市場側ともアナログな業務の影響で作業に手間がかかり、作業遅延やミスに繋がる運用が残っており、業務改善が急務でした。

【生産者側の課題】
事務処理はアナログな手作業が中心で手間

収穫した生産物を出荷用の箱やダンボールへ梱包する際に手書きの製品ラベルを貼り付ける。出荷実績数を手書きで台帳に書き込む。「送り状」は手書きや表計算にて入力し発送する。

基本的な事務作業は全てアナログな対応のため、手間が多くミスも生じる運用でした。

出荷した製品の履歴検索に時間がかかる

出荷した製品の確認作業が生じると、出荷情報を入力した表計算の履歴の確認、または手書きで保管している控え書類の中から対象の出荷記録を探し出して確認と、履歴検索に時間が必要でした。

【卸売市場側の課題】
生産者の伝票類の入力作業が膨大

生産者より届く「送り状」や「出荷報告書」などは「手書き」または「表計算」で印刷された書類のため、基本的に目視で一つ一つ確認をしながら一覧表に転記するため、非常に手間で時間を要する業務でした。

入荷処理が遅延し荷物が滞留

生産者から届いた荷物には「手書きの製品ラベル」が取り付けられており、「FAX」で届いた出荷報告書を元に目視で確認しながら入荷処理を実施しているため、作業が遅延して荷物が滞留しており、新鮮な状態で届いた生産物を小売業者へ発送までの段取りに時間を要していました。

現在の手作業中心の生産者作業

流通に関する生産者の手作業による運用イメージ

生産者側の製品出荷までの事務作業は一部パソコンを使っているものの、基本的には手作業によるアナログ作業が中心です。

製品の入荷業務

収穫された生産物は入荷準備として所定の用紙またはラベルに製品名、数量などの必要情報を手書きで記載して「製品ラベル」を作成し、生産物を梱包するダンボールに取り付け製品の出荷待機します。

製品の出荷作業

出荷作業のタイミングでダンボールに取り付けた「製品ラベル」の情報を目視で確認し、出荷実績の台帳に製品名、数量を手書きし卸売市場へ出荷します。

製品の帳票作成

出荷のタイミングで手書きで作成した出荷実績の台帳を目視で確認しながら、パソコンに製品名や数量を手入力し「送り状」や「出荷報告書」を作成しプリントアウトします。

製品の帳票送付

「送り状」の用紙は製品出荷に梱包、製品の明細が記載された「出荷報告書」はFAXで送信。そのため受領した卸売市場側は、「送り状」の用紙とFAXの情報を元に生産者から入荷した製品ラベルを目視で確認していました。

生産者と卸売市場のシステム構成

流通管理システムの概要イメージ
流通管理システムのシステム構成は生産者側にシステムをインストールしたパソコン製品ラベルを発行するプリンタ、QRコードをスキャンするハンディターミナルが必要となります。

生産者側のパソコンで作成した「送り状」と「出荷報告書」は、電子メール経由で卸売市場のパソコンに送信。卸売市場側から生産者側へは「仕切り状」を送信する仕組みとなっています。

基本的な作業は同じですが取り付けるラベルにQRコードを付与し、QRコード情報をハンディターミナルで読み取る事で目視作業をデジタル作業化。

「製品ラベル」のQRコードのデータは「送り状」「出荷報告書」の元データとして活用し、デジタルデータの状態のまま卸売市場へ送信。卸売市場側でも「製品ラベルのQRコード」のスキャンで目視作業&転記作業が廃止されます。

生産者が出荷した製品の履歴情報はパソコン内に全て保管されているので、卸売市場側から問い合わせがあった場合は、流通管理システム画面で出荷履歴情報の検索が可能。

検索作業が正確&スピーディになり、卸売市場側と共有のシステム画面を通じて話ができるため、意思疎通が行いやすくなります。

流通管理システム導入後の生産者作業

流通に関する生産者のシステム導入による運用イメージ

基本的に作業の流れは同じですがアナログ的だった作業部分がデジタル化される事で作業の生産性を上げます。

流通管理システムは今まで手書き作成だった「製品ラベル」をシステムで作成し発行。ラベルにはQRコードが取り付けられており、QRコード内に製品コードや数量など出荷で必要となる情報が保管されています。

またQRコードは「ハンディターミナル」と呼ばれる機器でQRコードをスキャン。今までの作業で必須だった目視確認、点呼作業、手書き作業は廃止となります。

製品の入荷業務

収穫された生産物の「製品ラベル」を流通管理システムより発行。製品を梱包するダンボール箱に取り付けます。

製品の出荷作業

製品出荷になるとダンボール箱に取り付けた製品ラベルのQRコードをハンディターミナルでスキャンし出荷実績データを収集します。

製品の帳票作成

収集した出荷実績データをパソコンに取り込みシステムより「送り状」と「出荷報告書」を作成します。

生産者の出荷データ連携(卸売市場への入荷データ連携)

生産者より製品を出荷したタイミングでシステム内にて作成した「送り状」と「出荷報告書」をメールで卸売市場へ送付します。

生産者の出荷データを受信した卸売市場は、データをハンディターミナルに取り込み、入荷された製品ラベルをスキャンし入荷実績の照合作業を行います。

流通管理システムのまとめ

製品ラベルのQRコードを活用した生産者と卸売市場の事務作業を効率化するシステムのご紹介でした。

年々QRコードは日常生活で利用するシーンが多くなっていますが、元々は小売業や今回ご紹介した流通業界、製造業での用途で発明された仕組みです。

身近になったQRコードを通じて生産者と卸売市場の事務作業を素早く、正確に完結させます。

ご興味をお持ちになった関係者様、一度ケーウェイズまでお気軽にご相談ください。

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